2021年3月1日
 
結核と新型コロナウイルス感染症
 
｜結核はCOVID-19（新型コロナウイルス感染症）と同じ呼吸器疾患です
 
結核もCOVID-19も咳や息切れなどを伴い、発熱や全身倦怠を起こします。
 
結核は結核菌という細菌が体の中に入ることによって起こる感染症です。
結核を発症して症状が進むと、結核菌を体の外に排出するようになります。
結核患者が咳やくしゃみをしたときに結核菌が飛び散り、
空気中に浮いているのを他の人が吸い込むことによって人から人へ感染します。
 
｜症状
 
COVID-19は感染してから数日以内に症状が始まります。
一方で、まったく症状が出ない人もいます。
 
結核は感染したからといって必ず発症するわけではありません。
結核菌が体の免疫力によって増殖を抑え込まれて休眠状態になり、
感染者が亡くなるまで発症しなかったり、
結核菌が免疫力によって死滅したりすることが大半だそうです。
 
しかし、体の免疫力が結核菌を抑えきれない場合、
感染後6か月から2年ほどで発症にいたります。
乳幼児の場合は、免疫力が不十分なため、
感染すると短い期間で発症する場合があります。
 
感染者が高齢になったり、他の病気で免疫力が落ちると、
休眠していた結核菌が増殖して、発症することがあります。
最近の日本の結核患者の傾向は高齢者の割合が多くなっています。
 
結核を発症した場合の初期は、咳や痰、発熱など風邪に似た症状が2週間以上続きます。
このような症状が長く続く場合は、早めに医療機関を受診しましょう。
 
結核は肺以外の臓器が冒されることもあります。
腎臓、リンパ節、骨、脳など身体のあらゆる部分に影響が及ぶことがあります。
 
体重が減る、食欲がなくなる、寝汗をかくなどの症状が現れたり、
病気が進行すると血の混じった痰が出始め、
さらに重症になると血を吐いたり、呼吸困難に陥ったりします。
 
｜予防
 
BCGは結核を予防するために接種するワクチンです。
日本では生後1歳までにBCG接種することになっています。
BCGの効果は10～15年程度続くと考えられています。
 
BCGは成人の結核予防として効果は高くないとされています。
成人になったら年1回定期健診を受けましょう。
早期発見のために胸部エックス線検査を受けることが大切です。
 
結核を早く発見することで、重症化を防ぐことができます。
また、家族や職場などの人たちへの感染を防ぐことができます。
 
結核の予防法は免疫力が低下しないように規則正しい生活を心がけ、
栄養バランスのよい食事と十分な睡眠、適度な運動をすることです。
 
3月24日は世界結核デーです。
細菌学者ロベルト・コッホが結核菌の発見を発表した日にちなんで、
世界保健総会で1997年に制定されたそうです。
 
2019年に日本で登録された結核患者数は約1万5千人、死亡者数は約2千人でした。
患者数の割合は欧米先進国より高く、近隣アジアの国々より低くなっています。
 
「SDGs（エスディージーズ）」の中では、健康と福祉の推進として、
エイズ、結核、マラリアその他の感染症の蔓延を2030年までに食い止める
という目標が掲げられています。
  「SDGs」は「Sustainable Development Goals（持続可能な開発目標）」の略称です。
2015年9月に国連で決められた国際社会共通の目標です。
 
※厚生労働省等の資料を参考にさせていただきました。